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営業内容・販売品目

■No.1203 小桜威大鎧 こざくらおどしおおよろい

所有 巌島神社所蔵
指定 国宝
形式 平安時代
伝承 所用者・奉納者不詳
甲冑師 小柴康彦
監修 三浦一郎
種別 模写
サイズ 1/3
兜鉢 一枚張筋伏星兜鉢  金銀指分金物
兜鉢の鍍金 純金・純銀鍍金
小札 上質和紙小札
シコロ 四段下がり杉形ジコロ 
威毛 鹿なめし小桜韋威
絵韋 鹿なめし襷文韋
鍬形・立物 無し 取付可能40,000円増
オプション *1 純金・純銀鍍金 雲竜文象嵌鉄鍬形(\40,000-)
*2 純金・純銀鍍金 獅噛文象嵌鉄鍬形(\40,000-)
※(*1)(*2)どちらかを選択して追加できます。
付属品 「甲冑」監修作品について
監修者・作者銘印入鑑定書
黒塗唐櫃
飾木
手袋
販売価格 787,500円
着手金 315,000円
備考  
   

■作品の解説

 広島県佐伯郡宮島町にある厳島神社は、平清盛が安芸守に就任して以来、平家の崇敬を大いに集めていました。現在でも清盛以下一門の写経をはじめ重盛所用と伝えられる大鎧を宝物として残されています。小桜威大鎧には源為朝奉納という社伝がありますが、やはり神社の性格上平家一門のいずれかの奉納とみるべきではないでしょうか。

 日本甲冑の研究家として知られる山上八郎氏は、その著書の中で所用者を高級郎党の筑後守家貞と推定しておられます。

 平安時代を代表する優品として明治三十二年に国宝に指定、さらに昭和二十六年には新国宝に指定されました。本作品は、これを1/3に模写したものです。

 大鎧とは中世甲冑を代表する形式の一種であり、元来は騎射(馬上で弓矢を扱うこと)を専用として開発されたものといわれている。兜、大袖を具し、胸には栴檀板と鳩尾板を縛り付ける。草摺は前後左右の四間で、この内、右の一間が分割し脇楯と称する小具足をなすのが特徴です。

 その威毛の「小桜威」は、小さな桜の模様を無数に染めた韋(鹿のなめし革)を用いた威毛であり、『源平盛衰記』、『吾妻鏡』、『太平記』等の古文献に散見されます。

■国宝「小桜威大鎧」の現状

 兜鉢は一枚張筋伏の星兜鉢で、左右合わせて十条の伏板を配している。一条に腰巻の一点を加えて計六点の厳星を打つ。前一条に共鉄の篠垂を構えて六点の星を打ち、その両脇には五点の星を打つ。八幡座は共鉄の葵座を一重のみ残している。後勝鐶には鍍銀を施す切子頭の鐶台を用いる。眉庇はか文を配した襷文韋を中央で「W」になるように裁断して包み、上下に掛けられた覆輪と三光鋲には鍍銀を施している。

 シコロは上から四十四枚、五十枚、五十六枚、六十二枚の小札を用いる四段下がりで総吹返にした杉形ジコロである。吹返は襷文韋を中央で交差させるように包まれ、鍍銀を施す桜の据文が打たれている。耳糸には小石打の紐を用い、裾板には革畦目、革菱を施している。

 袖は一段に十八枚の小札を用いる六段下がりの大袖で幅は三十三糎である。櫛形の冠板を用い、化粧板は古代菖蒲を白く染め抜いた藍韋で包まれ、前中後と鍍銀を施す桜の八双鋲を三つ打つ。耳糸には小石打の紐を用い、裾板には革畦目、革菱を施している。

 胴は脇楯、鳩尾板、栴檀板の冠板を欠損しており、これらは『厳島図会』や『集古十種』等にも認められない。弦走下は洗韋で縦取に威され、前立挙は十二枚、十三枚の二段、後立挙は十五枚、十六枚(逆板)、十六枚の三段とし、長側は五十枚、五十二枚、五十四枚、五十一枚の四段とし、それぞれの枚数の小札が用いられている。弦走や綿噛にはか文を配した襷文韋が用いられ、障子板の覆輪には鍍銀が施されている。胸板と押付の化粧板と脇壷は古代菖蒲を白く染め抜いた藍韋で包まれ、それぞれ鍍銀を施す桜の八双鋲を打つ。逆板の畦目は洗韋を用い、革菱が施されている。総角鐶には座金の痕跡が認められるが、切子頭の鐶台のみとなっている。栴檀板の三段は各六枚の小札を用いている。

 草摺は前を二十一枚、二十四枚、二十六枚、二十八枚の四段下がり、引敷を二十三枚、二十四枚、二十八枚、三十枚の四段下がり、射向を二十枚、二十二枚、二十四枚、二十六枚、二十九枚と五段下がりとし、それぞれの枚数の小札を用いている。共に耳糸には小石打の紐を用い、裾板には革畦目、革菱を施している。

■素材と仕上げ

 甲冑は多種に及ぶ素材の材料が絡み合って形成されている。これらの材料を一つ一つ正確に持ち寄って製作するには莫大なコストを要するのである。そこで、一定のコストを最大限に生かし、概観上の重視を求めるには材料に代用品を用いざるを得ない。

 さらに、1/3のサイズであり、熟練した甲冑師の手を介しても正確な復元製作は困難を極める。このため製作上の工程を簡略化することはやむを得ないこととした。

 そこで主たる部分の材料及び製作方法は、製作監修という立場から次のように行なった。

一 小札

 本来は鉄、革で作られた小札を用いるところであるが、概観上に大差が認められない理由から、その代用として和紙で作られた小札を用いることにした。よって毛喰の溜への威毛の挟み込み及び下緘は省略することにした。また本漆で塗り固めるところであるが、胡粉下地にカシュー漆の上塗りで仕上げることにした。

二 金具廻り

 兜鉢を含む金具廻りに本来は鉄板を用いて作るところであるが、縮尺に対する加工上の理由から、その代用として真鍮板を用いることにした。塗装についても本漆を用いるところであるが、製作上の理由からカシュー漆で仕上げることにした。

三 金物

 金物類に本来は銅板を用い、消焼による鍍金、鍍銀を施すところであるが、概観上に大差が認められない理由から、その代用として真鍮板を用いて電気メッキで仕上げることにした。出来得る限り個々に手作りを心がけたが、やむを得ず金型で作られた部品も用いることにした。

四 革所

 革所は遺物に習い鹿の白鞣を用い、各々の絵柄に合わせた型紙をもって染め付けた。弦走韋と吹返を包む韋は古式の規定に習って赤韋で綴じ付けることにした。これらは天然染料で染め付けるところであるが、概観上に大差が認められない理由から化学染料を用いることにした。また地韋と小韋の間に施す伏組も製作上の理由から蛇腹伏にした。

五 威毛及び緒所

威毛には遺物と同様の小桜韋を用いる。緒所には遺物に習って正絹の角八ツ打を用いることにした。共に天然染料で染め上げるところであるが、概観上に大差が認められないため化学染料を用いることにした。また耳糸に至っても現状とは異なる啄木打の紐を用いることにした。

■監修のポイント

 模写製作の対象となる国宝「小桜威大鎧」は、一部の部品を欠損していることは現状でみられるとおりである。その原型を知る手掛かりとなる資料は何もなく、いわば皆無の状態である。このためこれらの欠損部分に対して適当な考察を加えて復元しなければならないのである。そこで、現在みられる平安期から鎌倉期にかけての国宝、重要文化財指定の遺物や該当する文献、古画等を参考に復元製作をおこなった。

一、兜

 一枚張筋伏の星兜鉢は現状どおり忠実に模し、現状では欠損したと思われる八幡座の上部は栃木県唐沢山神社等の(重文)「大鎧残欠」を参考にした。裏菊座は鍍銀、小刻は鍍金、玉縁は鍍銀と金銀に指し分けた。これに習って三光鋲は鍍銀にして小刻は鍍金にした。

 シコロは現状どおり四段下がりで総吹返の杉形ジコロを忠実に模した。裾板の畦目と菱縫には現状どおり赤革を用いた。小札の枚数を現状どおりにした結果、総体に眉庇より後退した形状となり、『平治物語絵詞』等にみられるように騎射における視野の確保を求めたことが想像できる。

二、袖

 袖の札丈は実寸で七、九糎であるから三分の一に縮尺にすると二、六糎余であり、袖幅は三十三糎であるから三分の一の縮尺で十一糎とした。裾板の畦目と菱縫には現状どおり赤革を用いた。化粧板には菖蒲を染め、袖裏からとる切子頭の水呑鐶は現状どおりであり、欠損した矢摺韋は東京都御岳神社蔵(国宝)「赤糸威大鎧」等を参考に復元した。

三、胴

 胴は長側の三段目より四段目の方が小札の枚数が三枚少なく、現状ではその分を蝙蝠付韋下に幅の大きな小札を用いて補っている。このため長側の糸増しが不自然であり、今回は通常の糸増しを想定して小札の枚数を五十六枚にした。弦走下は現状どおり洗韋で縦取に威し、欠損したと思われる総角鐶の座金には大山祇神社蔵(国宝)「逆澤潟威大鎧」、厳島神社蔵(国宝)「紺糸威大鎧」等にみられる酢漿草を用いることにした。 弦走韋等に用いるか文を配した襷韋も忠実に模した。

 欠損した栴檀板の冠板と鳩尾板は、古式に習って御物「逆澤潟威大鎧雛形」にみられる片山式とし、控緒は左胸の高紐に掛けた。

 草摺は現状どおり前後四段、左右五段とした。小札の枚数も同様の枚数で模し、裾板の畦目と菱縫には赤革を用いた。欠損した脇楯は東京都御岳神社蔵(国宝)「赤糸威大鎧」の壷板の形状を参考に復元し、馬手の草摺の小札は射向と同様の枚数にしたため、上から二十枚、二十二枚、二十四枚、二十六枚、二十九枚と推定した。

■甲冑(KATCU.COM)から

 国宝「小桜威大鎧」の模写監修・製作過程をご紹介して参りましたが、「甲冑」では限られたコストをできるかぎり有効に生かし作品に仕上げています。

 特に現状どおりの小札の枚数で製作する事は、本物志向のお客様に十分ご満足がいただけるものと存じます。また金物を金銀に差し分けることで、威毛の小桜韋にあいまって一層美麗に仕上げています。欠損した部分についても最大限の監修を加えることにより、在りし日の形姿を取り戻いているものと確信しています。

■模写監修・製作についてのお礼

 初回監修・製作にあたり甲冑師の佐藤敏夫氏、豊田勝彦氏に多大なるご教授を賜り、そのご意見を参考にさせて頂きました。この場を借りて深く感謝いたします。


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