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営業内容・販売品目

■No.1202 はじ匂大鎧 はじにおいおおよろい

所有 甘南備寺所蔵
指定 重要文化財
形式 平安時代
伝承 所用者・奉納者不詳
甲冑師 小柴康彦
監修 三浦一郎
種別 復元模写(一部創作)
サイズ 1/3
兜鉢 一枚張筋伏二方白星兜鉢 金銀指分金物
兜鉢の鍍金 純金・純銀鍍金
小札 上質和紙小札
シコロ 五段下がり杉形ジコロ 菊丸据金物付
威毛 正絹赤糸、紅糸、黄糸威
絵韋 鹿なめし襷文韋
鍬形・立物 菊丸真向金物
オプション *1 純金・純銀鍍金 雲竜文象嵌鉄鍬形(\40,000-)
*2 純金・純銀鍍金 獅噛文象嵌鉄鍬形(\40,000-)
※(*1)(*2)どちらかを選択して追加できます。
付属品 「甲冑」監修作品について
監修者・作者銘印入鑑定書
黒塗唐櫃
飾木
手袋
販売価格 787,500円
着手金 315,000円
備考  
 

■作品の解説

この大鎧は、甘南備寺蔵の甲冑残欠を復元(一部創作)したものです。

 甘南備寺は島根県邑智郡桜江町川越にある真言宗の古刹です。この寺に甲冑の残欠が所蔵されている。昭和七年に甲冑研究家の山上八郎氏の調査により、これが貴重な平安時代の大鎧であることが判明しました。その後、昭和四十年に県の重要文化財に指定、さらに翌四十一年には国の重要文化財に指定されています。

 大鎧とは中世甲冑を代表する形式の一種であり、元来は騎射(馬上で弓矢を扱うこと)を専用として開発されたものといわれています。兜、大袖を具し、胸には栴檀板と鳩尾板を縛り付ける。草摺は前後左右の四間で、この内、右の一間が分割し脇楯と称する小具足をなすのが特徴です。

 監修者の三浦一郎は昭和六十二年に京都国立博物館の特別展覧会「日本の甲冑」で初見。平成十一年、1/3の縮尺で復元模写の製作監修の依頼を受けています。翌十二年六月、詳細な調査のために同寺を訪れ、改めて在りし日の雄偉なる姿を彷彿しました。

■甲冑残欠の現状

 厳重なる保存管理のため現在では四つの箱に部分別に収められ、さらにそれをガラスケースに収められている。このため直接手にとって測定することはできいため、甲冑研究家の山岸素夫氏による測定を参考にした。

 本甲冑残欠は前胴長側三段と草摺四段、後胴逆板長側四段と草摺三段(上から三段目を欠)、栴檀板三段、シコロ、袖の一部の小札板を威したものを残すのみで、兜鉢をはじめ金具廻りのすべてを欠損している。革所は蝙蝠付韋に霰文に撫子の絵韋をわずかに残すのみである。

 小札は札丈7、9cmの重厚なる三目札を用い、正面から射向にかけて革札二枚に対して鉄札一枚を交ぜて形成されていたと思われる。威毛にはいわゆる重打と称する紐を用い、耳糸には白、萌黄、赤、紺の四色を組交ぜた鷹羽風の組糸を用いている。裾板の畦目、菱縫には共に赤革を用いている。

 威毛の文化財登録名は「はじ匂」とみられる。この威毛は『平治物語』、『平家物語』、『源平盛衰記』等に広く散見されるもので、ハゼノキが色付く様を赤系の繧繝で表したものといわれている。これを唱えられたのは山上氏である。しかし、その根拠となるものは何もないのである。

 さらに山上氏はその著書である「日本甲冑一〇〇選」の中で、威毛の色目をシコロ、袖、草摺を裾濃に威し、後胴のみを匂に威したものと推定されている。しかし、現状を確認する限り弦走下を赤韋で縦取に威し、逆板の畦目と揺糸は黄糸がみられる以外はすべて赤糸威のようにみえる。また栴檀板に繧繝が認められないことからも、この現状を重視すべきであるように思えた。

■素材と仕上げ

 甲冑は多種に及ぶ素材の材料が絡み合って形成されている。これらの材料を一つ一つ正確に持ち寄って製作するには莫大なコストを要するのである。そこで、一定のコストを最大限に生かし、概観上の重視を求めるには材料に代用品を用いざるを得ない。

 さらに、1/3のサイズであり、熟練した甲冑師の手を介しても正確な復元製作は困難を極める。このため製作上の工程を簡略化することはやむを得ないこととした。

 そこで主たる部分の材料及び製作方法は、製作監修という立場から次のように行なった。

一 小札

 本来は鉄、革で作られた三目札を用いるところであるが、概観上に大差が認められない理由から、その代用として和紙で作られた三目札を用いることにした。よって毛喰の溜への威毛の挟み込み及び下緘は省略することにした。また本漆で塗り固めるところであるが、胡粉下地にカシュー漆の上塗りで仕上げることにした。

二 金具廻り

 兜鉢を含む金具廻りに本来は鉄板を用いて作るところであるが、縮尺に対する加工上の理由から、その代用として真鍮板を用いることにした。塗装についても本漆を用いるところであるが、製作上の理由からカシュー漆で仕上げることにした。

三 金物

 金物類に本来は銅板を用い、消焼による鍍金、鍍銀を施すところであるが、概観上に大差が認められない理由から、その代用として真鍮板を用いて電気メッキで仕上げることにした。出来得る限り個々に手作りを心がけたが、やむを得ず金型で作られた部品も用いることにした。

四 革所

 革所は遺物に習い鹿の白鞣を用い、各々の絵柄に合わせた型紙をもって染め付けた。弦走韋と吹返を包む韋は古式の規定に習って赤韋で綴じ付けることにした。これらは天然染料で染め付けるところであるが、概観上に大差が認められない理由から化学染料を用いることにした。また地韋と小韋の間に施す伏組も製作上の理由から蛇腹伏にした。

五、威毛及び緒所

 本来は威毛に手組による重打の紐を用いるところであるが、概観上に大差が認められない理由から既製の正絹の常組を用いることにした。緒所には遺物に習って正絹の角八ツ打を用いることにした。天然染料で染め上げるところであるが、概観上に大差が認められないため化学染料を用いることにした。また耳糸に至っても現状とは異なる啄木糸を用いることにした。

■監修のポイント

 復元模写(一部創作)の対象となる甘南備寺蔵甲冑は、多くの部分を欠損し現状でみられるとおりの残欠である。その上、確固たる原型を知る手掛かりは何もなく、いわば皆無の状態である。このため復元にあたり、これらの欠損部分に適当な考察を加えて製作しなければならないのである。そこで、現在みられる平安期から鎌倉期にかけての国宝、重要文化財指定の遺物や該当する文献、古画等を参考に復元製作をおこなった。

一 兜

 失われた兜鉢はほぼ同時期のものと思われる広島県厳島神社蔵(国宝)「小桜威大鎧」の一枚張筋伏の星兜鉢を用い、京都府石清水八幡宮旧蔵品を参考に前三行の篠垂と後二行の伏板に鍍金を施した。さらに東京都御岳神社、栃木県唐沢山神社等の蔵品を参考に八幡座と篠垂、伏板の星を鍍銀に指し分けた。そして、眉庇には岡山県蔵(国宝)「赤韋威大鎧」、東京都御岳神社蔵(重文)「紫裾濃大鎧」等の兜にみられるような菊重の真向金物を打つ。

 シコロは残存する裾板の形状から五段下がり杉形ジコロであったと推測される。そこにみられる糸の色目から総体に赤糸威とし、畦目と菱縫には現状どおり赤革を用いた。さらに広島県厳島神社蔵(国宝)「紺糸威大鎧」と同蔵(国宝)「小桜威大鎧」等の兜のシコロを参考に形状を求めた。また『平治物語絵詞』にみられるように吹返は総韋包とし、据文は省略した。

二 袖

 袖の札丈は実寸で7、9cmであるから1/3に縮尺にすると2、6cm余であり、前述の遺物等にみられるように櫛形の冠板に六段下がりとした。袖幅は古式の実寸が33cmであるから1/3の縮尺で11cmとした。威毛は残存する糸の色目から総体に赤糸威とし、畦目と菱縫には現状どおり赤革を用いた。化粧板の菖蒲韋と袖裏からとる切子頭の水呑鐶、右袖裏後部の矢摺韋等は東京都御岳神社蔵(国宝)「赤糸威大鎧」を参考にした。

Option 鍬形付き
\40,000増し

三、胴

 胴の弦走下は現状どおり赤韋で縦取に威し、後胴も現状どおりすべて赤糸威とした。逆板の畦目には現状どおり黄糸を用い、菱縫には赤革を用いた。失われた総角鐶の座金には大山祇神社蔵(国宝)「逆澤潟威大鎧」、厳島神社蔵(国宝)「紺糸威大鎧」等にみられる酢漿草に切子頭の鐶台を用いることにした。

 弦走韋等の表韋には『温古究果』に散見される素朴で古式を思わせる鳩襷文韋を用い、裏韋にはかもんの襷韋を用いることにした。栴檀板、鳩尾板の形状は古式に習って御物「逆澤潟威大鎧雛形」にみられる片山式にし、控緒は左胸の高紐に掛けた。

 草摺は広島県厳島神社蔵(国宝)「小桜威大鎧」、岡山県蔵(国宝)「赤韋威大鎧」等にみられるように前後四段、左右五段とし、畦目と菱縫は赤革を用いた。揺糸のみは明らかに黄糸であり、依頼者からの希望もあって草摺にのみ朱糸を交ぜて計三色で繧繝をみせた。

 この場合、揺糸が黄糸であるため、東京都御岳神社蔵(重文)「紫裾濃大鎧」にみられるように両脇の蝙蝠付韋の畦目に黄糸を用いることにした。

 現状の痕跡では認められないが、装飾として御物「逆澤潟威大鎧雛形」にみられるように総体に菊丸の裾金物を散らした。

■甲冑(KATCU.COM)から

 重要文化財「甘南備寺蔵甲冑残欠」の模写監修・製作過程をご紹介して参りましたが、「甲冑」では限られたコストをできるかぎり有効に生かし作品に仕上げています。

 特に威毛の配色は、現状どおり復元しています。これまでに何度もその復元が試みられてきましたが、いずれもシコロ、袖に赤系の繧繝をみせるものでした。しかし、それは現状に必ずしも則さないため、上記の監修を威毛に加え復元製作いたしました。そこには、現代人である我々の既成概念を超越した中世以前のおおらかな美意識が彷彿させるものがあります。今となっては、この美麗なる威毛を「はじ匂」と呼んでいたかどうかはわかりません。

■模写監修・製作についてのお礼

 初回監修・製作にあたり甲冑師の佐藤敏夫氏、豊田勝彦氏に多大なるご教授を賜り、そのご意見を参考にさせて頂きました。この場を借りて深く感謝いたします。


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